マセレーター導入施設インタビューvol.1「岡波総合病院」


岡波総合病院が実現する、人とテクノロジーの融合による新時代の看護。
マセレーター導入を皮切りに、同院が推進する業務改革は、効率化と質の向上を両立させる画期的なものです。その取り組みは厚生労働省と日本看護協会のジョイント企画「看護業務の効率化アワード2023優秀賞」を受賞し、業界の注目を集めています。
人口減少や高齢化が進む中、限られた人材で質の高い看護を提供するための挑戦。
今回は、同院の看護部長 松島様と副看護部長 濱野様に詳しくお話を伺いました。
高齢化社会に対応し、看護の本質を追求する取り組み
―近年、医療現場を取り巻く環境は大きく変化しています。
高齢化社会の進展に伴い、患者層も変化し、それに伴って看護業務の内容も複雑化しています。
岡波総合病院もその例外ではありませんでした。
松島看護部長:私がナースになった頃は、患者さんは手術後すぐに歩いて退院し、社会復帰するのが一般的でした。
しかし今は、退院といってもすぐ家に帰れる人が少なくなっています。
―こうした変化に伴い、看護業務の多忙化と人員不足が深刻な課題となっていました。
松島看護部長:看護が大切にしたいものは変わっていないのに、業務量と多忙さだけが増えています。
これが今の日本の看護の現状であると感じています。
ただそれを悲観的に捉えるだけではなくて、どうすれば自分たちのやりたい看護や大切にしたいことを維持しながらケアを実践できるのかということを考えました。
―この課題解決のひとつとして浮上したのが、マセレーターの導入でした。
マセレーターとは、使い捨ての汚物収集容器(尿器や便器ほか)を使用後に水とともに粉砕し、下水に排水する装置です。
交差感染の予防はなにより、看護師の間接業務の軽減を目的に、マセレーターの導入によって自分たちの実現したい看護を継続したいという強い思いが導入のきっかけとなりました。
また、松島看護部長は以前から海外の病院でこの装置を目にしており、その可能性に注目していたといいます。

明確なビジョンが導いた、円滑な導入プロセス
―導入を検討する中、病院の新築移転という好機が訪れました。
松島看護部長:移転前の病院では汚物処理室のスペースがとても狭小で、給水や排水をどうするかという問題があったので、移転が大きなきっかけになったことは間違いありませんでした。
―導入決定までの過程は、予想外にスムーズだったようです。
松島看護部長:院長をはじめ、みんなが看護師は直接的なケアだけでなく間接的な業務が多いため、その導入が業務負担軽減に繋がるのであればと理解してくれていました。
―しかし、単に「楽になるから導入したい」という提案ではなく、「効率化して捻出された時間は、自分たちのやりたい看護ができる」というビジョンを示すことが重要だったと強調します。
導入におけるメーカー選定にはこだわりがあったそうです。
濱野副看護部長:導入したあと、一緒に感染対策を考えてくれるメーカーさん、困ったことをこの先も一緒に悩んでくれるメーカーとコラボをしたいと考えていました。
そこに一番マッチしたのが松吉さんだったんです。経営層に提示するデータなども相談にのっていただきました。

現場の声を丁寧に拾い上げ、全員で取り組む業務改革
濱野副看護部長:マセレーター導入が決定後も、どんなところに課題や問題があるのかを、現場と一緒に検討しました。
―さらに、メーカーと協力して同院のニーズに合わせた製品のカスタマイズにも取り組みました。
濱野副看護部長:現場より排尿バッグから尿を回収する時に適している大きさのパルプ容器が欲しいと意見がありました。
ベッドの高さやワゴンで運搬することなどを考慮したパルプ容器の形状へカスタマイズしました。
私達の意見をとり入れ細かいところに手をさし伸べてくれる松吉さんの姿勢はとてもありがたかったです。
- マセレーターの導入により、汚物処理室の滞在時間が1/4以下に短縮され、看護師が患者のケアに集中できる環境を実現。
看護師・看護補助者の業務負荷軽減、モチベーション維持、離職対策、他院差別化に繋がる。 - マセレーターと共に使用するシングルユース容器。重ねて収納することができる。
- 2023年に行われた厚生労働省と日本看護協会とのジョイント企画「看護業務の効率化 アワード2023」で、岡波総合病院が優秀賞を獲得。

現場に定着した新システムが「なくてはならないもの」に
―マセレーター導入後、同院では劇的な変化が見られました。
濱野副看護部長:これまで処理にかかっていた作業時間が86%削減できました。作業工程も5つの工程だったのが1工程になりました。
―効果は具体的な数字に表れているようで、現場の反応も非常に良好だといいます。
濱野副看護部長:不具合が生じたときには問い合わせがたくさん来ます。業務になくてはならないものとなっています。
―この反応は、マセレーターが日常業務に完全に組み込まれ、その効果が実感されていることの表れと思われます。
しかし松島看護部長さんは次のように指摘します。
松島看護部長:マセレーターの導入はゴールではないんです。
そこはスタートであって、そこから看護をどうしていくか。導入による効果をどうフィードバックしていくかが重要なんです。
―マセレーター導入は、あくまで業務効率化の手段であり、そこから得られた時間をどのように活用し、看護の質を向上させていくかが真の架台であることがわかります。
業界が注目する先進的な取り組みの成果
―同院のマセレーター導入の取り組みは、「看護業務の効率化アワード2023」で優秀賞を受賞しました。
濱野副看護部長:本当にいろんなところで反響がありました。
たとえば、雑誌の取材依頼があったり、三重の看護協会の機関誌に掲載されたり。もちろん病院の機関誌にも載せましたよ。
―さらに注目すべきは、他の医療機関からの関心の高さです。
松島看護部長:今まさに導入しようとか、検討しようという病院さんからの見学の依頼が非常に多いです。
―この反響から、同院の事例が、他の医療機関にとっても参考になる先進的なモデルケースとなっていることがうかがえます。
基本的欲求に寄り添い、より効果的なケアを追求
―マセレーター導入に加え、同院では新築移転を機に看護ケア全般の見直しも行いました。
特に注目したのが陰部洗浄の方法で、従来の陰部洗浄ボトルによる方法を見直し、より効果的で衛生的な方法を模索しているとのこと。
濱野副看護部長:やはり清保ケアは、自分たちがやりたい看護の一つ。
社会の背景が変わっても変わらない看護の核心部分だと思います。
―同院ではさまざまな業務改善が進められ、その効果は目に見える形で現れています。
新たな課題に直面しても「自分たちのやりたい看護を実現する」という明確なビジョンを持ち続け、様々な障壁を乗り越えてこられました。
同院の取り組みは、日本の医療現場に新たな可能性を示唆しています。

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